区画整理や、道路拡張の際に計画区域にかかった家を移動させる必要が生じる場合があります。家を解体せずに、そのままの状態で移動させる曳家という建築技術があります。
普通の家だけではなく、鉄筋コンクリート製のビルも移動させることが可能です。有名な建築物が動かされた事例も数多くあります。
宅地建物や不動産等にまつわるポッドキャスト番組たくだん第12回エピソードです
マクラ:ワープロは永遠に不滅です!
ワープロがなくなるわけがない
30年前のメーカー担当者
30年前はワープロが全盛期でした。パソコンよりもワープロのほうが普及台数が多かったのです。日本の各電機メーカーもワープロの製造販売に力を入れていました。そんな30年前に、ワープロのメーカーの担当者さんに今後のワープロはどうなっていくのかを質問しています。それを30年ぶりに引っ張り出してきて記事にしています。
パソコンに取り込まれることは無い
担当者さんはもう定年退職されている方も多いかもしれません。その頃はワープロがなくなるなんて想像できなかったでしょう。FAXは今でも元気に稼働していますね。ワープロをセダンに例えていますが、そのセダンも今は人気が無いというのも面白い話です。
本編:曳家
分解せずに移動
建築技術の一つ
家を分解せずに、そのままの形で移動させる技術のことを曳家(ひきや)と呼びます。曳屋・引舞・曳舞とも言います。区画整理や道路拡張の際、建物を解体せずに移動させるために活用されます。歴史的建築物を保護する目的で活用される場合もあります。水平移動だけでなく、高いところに上げる事も可能です。
住んだままで移動も
住んだまま移動させることもできます。住んだままで移動すれば引っ越しの手間もなくなります。建物を解体して再度立て直すのは再築工法と呼ばれます。
戦後復興事業で活用
東京中央郵便局も
曳家するためには、建築物が移動しても壊れない耐久性を有していることが条件になります。また、建物自体が保存する価値が有るという事も条件の一つです。価値がない建物は取り壊して新築したほうが経済的だからです。東京中央郵便局や、赤坂プリンスホテル旧館も曳家が行われました。
ビルも移動
名古屋市の戦後復興事業では、鉄筋コンクリートのビルを地下室ごと、またビル内では業務を継続しながら移動させた例があります。また、鉄筋コンクリート造のビルを南に180メートル、東に80メートル移動させた朝日生命名古屋支社など、名古屋では多く実施されました。
新築の4割程度
高知には13業者
35年前の高知市には曳家業者が13業者ありました。昭和南海大地震や伊勢湾台風で修復するニーズが多かったことが理由の一つです。費用の相場は新築の4割程度とされています。
下腰工法がオーソドックス
基礎ごと曳家工事を行う業者も近年は出ていますが、家を土台から持ち上げて、基礎は新しいものにする「下腰工法」が曳家工事のオーソドックスです。基礎を新しいものに出来ることが下腰工法のメリットであり特徴です。
おしまい
HPにお越しいただきありがとうございました。
リスナー様からのお便りをお待ちしています
収録日:2021年2月18日