【177】①親権者は辞められますか?委任は辞められますか?後見人はどうですか?遺言執行者もそうですか? 令和4年宅建試験第9問 辞任 ②飲まなくなって食べなくなったもの

宅建試験2022年
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たくだんのおさらい 問題に挑戦

令和4年宅建試験第9問

辞任に関する次の記述について、民法の規定に従い、それぞれの正誤を答えよ。

改造版

1.委任によって代理権を授与された者は、報酬を受ける約束をしている場合であっても、いつでも委任契約を解除して代理権を消滅させて、代理人を辞することができる。

2.親権者は、やむを得ない事由があるときは、法務局に届出を行うことによって、親権を辞することができる。

3.後見人は、正当な事由があるときは、後見監督人の許可を得て、その任務を辞することができる。

4.遺言執行者は、正当な事由があるときは、相続人の許可を得て、その任務を辞することができる。

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本編:令和4年宅建試験第9問

01’05″ 問題文

01’40″ 選択肢ア

そもそも契約の解除とは、契約が有効に成立した後、契約の当事者の一方が解除権を有する場合に、相手方に対する意思表示によって契約関係を解消することをいいます(民法540条)。

契約は、当事者の申込みと承諾によって成立するものです。一度有効に成立した契約は、当事者の一方的な都合や理由だけでは、契約を一方的に解除することはできません。

これに対して、委任契約はどちらの当事者もいつでも理由なく解除することができる、とされています(民法第651条第1項)。これは、委任契約は当事者同士の信頼関係を前提とするものなので、信頼関係がなくなった当事者間ではもはや契約を継続させる意味がない、という考え方に基づいています。

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民法第540条

  1. 契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする。
  2. 前項の意思表示は、撤回することができない。
民法第540条 WIKIBOOKS

民法第651条

  1. 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
  2. 前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
    1. 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
    2. 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。
民法第651条 WIKIBOOKS

06’10″ 選択肢イ

親権は、未成年の子を一人前に成熟した社会人とするために養育する、親に認められた権利であり、また義務であると考えられています。そして、親は「子の利益のために」親権を行使すべきとされています(民法820条)。

日本の親権制度は、婚姻中は父母の共同親権ですが、離婚後は単独親権となります。父母が婚姻していない場合、原則母が単独で親権を行使しますが、父母の協議により父と定めることもでき、そのときには父が単独親権者となります。

夫婦で話し合って離婚に合意する協議離婚の際には、親権を父母どちらかに指定して離婚届に記載する必要がありますので(民法819条1項、戸籍法76条1項)、親権者を決めなければ離婚することができません。

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親権放棄はできるのか?
親権者が「親権を放棄する」と宣言しても、直ちに親権放棄が認められるわけではありません。

親権は義務としての性格もあるため、親権者の独断で、あるいは親権者と子どもの間で合意があったとしても、容易に放棄が認められるものではないのです。

親権放棄が認められるのは、家庭裁判所に申し立て、適切な手続をとった場合に限られます。

親権を手放す手続には主に2つの種類があります。

ひとつは『親権の辞任』です。

家庭裁判所に申し立てて、親権を手放すことがやむを得ないと認められた場合に限り認められます(民法第837条第1項)。

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11’45″ 選択肢ウ

一度成年後見人に選ばれたら何の理由もなくただ辞めたい、というのはダメです。

成年後見人になった後にその職を辞めたい場合、正当な理由が必要です。

【民法第844条】
後見人は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。

正当な事由かどうかは管轄の家庭裁判所が判断します。

具体的には以下のような場合が挙げられます。

  • 中・長期的に治療が必要な病気になった
  • 転勤などで本人と離れてしまい後見業務に支障をきたす
  • 高齢になり財産管理が難しくなってきた
  • 家族の介護が発生し後見業務に時間を割けなくなった
  • 本人と信頼関係が破綻するような出来事があり関係が悪化した
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16’15″ 選択肢エ

民法第1019条

  1. 遺言執行者がその任務を怠ったときその他正当な事由があるときは、利害関係人は、その解任を家庭裁判所に請求することができる。
  2. 遺言執行者は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。
WIKIBOOKS

21’35″ オマケ

44″50″ エンディング

収録日:2023年6月17日