シロアリはアリの仲間ではなく、ゴキブリに近いとされています。
木造住宅の最大の天敵の一つがシロアリです。シロアリの被害には気づきにくく、知らない間に被害を受けていることがあります。
そんな迷惑なシロアリも、自然の中では重要な役割を担っています。
宅地建物や不動産等にまつわるポッドキャスト番組たくだん第37回エピソードです。
マクラ:収斂進化
収斂進化とは、種が違う生物が置かれた環境の影響で似た形に進化する現象です。哺乳類のモグラと昆虫のオケラが土の中で生息することで、同じような手を持つような現象の事を言います。
ペンギンは本来、北半球に生息していたオオウミガラスのことでした。このオオウミガラスによく似た南半球の飛べない鳥を、「南半球のペンギン」と呼んでいました。
これらの種族は異なりますが、生育する環境が似ているため、収斂進化で似た姿になりました。
現在オオウミガラスは絶滅してしまい、オオウミガラスは忘れ去られ、南半球のペンギンが「ペンギン」と呼ばれています。
本編:シロアリ
アリではない
シロアリは、アリという名前ですが、アリではなく、ゴキブリの仲間とされています。日本で家屋に被害を及ぼすのは、主にヤマトシロアリとイエシロアリで、特にヤマトシロアリの被害が多く、8~9割とされています。
ヤマトシロアリ
ヤマトシロアリは、山や林の朽木、家の土台の腐りかけた木材などでよく見られます。食欲はあまり旺盛ではなく、加害も緩慢で浴室や湿気の高い床下に集中します。
種類と被害
イエシロアリ
イエシロアリは屋根裏や床下に大きな巣を作ります。繁殖力が強く、新材を好み、食欲が旺盛で加害も急激です。被害が家屋全体に及び、家が倒れることもあります。
蟻道
シロアリは土で固められた土のような道を作ります。蟻道と呼ばれます。蟻道はシロアリ特有のもので、木材の周辺に蟻道がついていればシロアリ被害がついていると考えて間違いありません。
地震で倒壊
シロアリだけで建物が倒壊することはほとんどアリませんが、地震時の建物倒壊には少なからず影響を与えると指摘されています。
自分でできる点検
家の状態を観察することで、変化に気づき、対策を行えます。以下の点に注意します。
- 基礎に蟻道がないか
- 基礎の換気口を塞いでいないか
- 家の周りに木材を放置していないか
点検の一例は以下の項目です
- 床下の湿気
- 配管の水漏れ
- 床下の蟻道
- 床下の木材がもろくなっていないか
- 床下にシロアリが居ないか
万が一怪しいと思ったら専門家に相談しましょう。
シロアリが熱帯地域の生態系の健全度を示す
セルロースを分解
熱帯地域ではシロアリが物質の循環に役立っています。枯れた木材のセルロースを分解して土に戻しています。
すべての種類のシロアリがセルロースを分解するのではありません。多様なシロアリが熱帯地域には生息します。
多様な種の維持が重要
多様なシロアリの種が生息していれば、物質の循環がうまくいっている証明になります。多様な種が維持されることが生態系にとって最も重要なことです。
おわり
シロアリが家に被害を及ぼしていると気づくのが遅ければ深刻な状態になっている可能性があります。予防には家屋のそばに湿った環境を作らないことが重要です。
また普段からの点検でできるだけ早く気付けるようにしたいものです。迷惑なシロアリも、森にとっては重要な存在でした。
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収録日:2021年5月2日