土地の持ち主が亡くなったあとも、相続登記が行われず、持ち主不明となり売買できなくなる場合があります。売却できなくても固定資産税だけが来てしまう場合もあります。持ち主がわからなくても、税の徴収はどうにかしてやって来ます。
日本の土地は相続の未登記等で、九州以上の面積の持ち主が不明となっていると言われています。持ち主がはっきりとしなければ、賃貸や売買もできません。「土地の登記の義務化へ」というニュース報道が有りました。
宅地建物や不動産等にまつわるポッドキャスト番組たくだん第9回エピソードです。
マクラ:ウルトラ擁護
先輩の悪口は言えない
大臣も組織人
オリンピック組織委員会の委員長の失言とその後の逆ギレ会見に対してコメントを求められた大臣が、「あの方は反省したら逆ギレする。相当反省している。」と無理やりな擁護をし話題になりました。
大臣は基本的に国会議員が着任しています。国会議員は組織の規律を守る必要があります。オリンピック組織委員会の委員長は国会議員の大先輩です。組織人は先輩の悪口は絶対に言えません。
擁護をひねり出す
その結果ひねり出したのが「最も反省しているときに逆ギレする」という擁護です。反省しているはずが、切れてしまっているという状況を説明しようとするとこうなりました。
ニュースになったと言うことは国民が呆れているということです。
本編:九州相当が持ち主不明
相続登記を義務化へ
所有者わからずの土地が増加
不動産の所有者と言うと、しっかりと国が管理しているというイメージをお持ちの方が多いです。実際には所有者の分からない不動産が九州以上の面積に相当します。日本は大丈夫なのかと不安になってくる広さです。
手放すこともできるように
今回の案では、相続の際の登記を義務化することが盛り込まれました。現在は相続しても登記しないままの土地があり、登記簿上の持ち主が120歳などということもあります。
相続登記ができていない土地を売買するに当たっては、法定相続人から遺産分割協議書への同意を取り付ける必要があります。その法定相続人が亡くなれば、更に相続が発生し、法定相続分が細切れとなり、把握が難しくなります。
現在は制度上不要な土地も手放すことが出来ませんが、これを国の帰属とする制度も盛り込まれています。
法制審議会とは
法務省に置かれる審議会のひとつ
法制審議会とは大臣から依頼を受けて、不動産に詳しい人や大学の教授を集めて法律の案を話し合います。その結果を大臣に報告します。
不動産素人の国会議員で不動産に関する法律を作ることは難しいです。専門的な知識を活かすため法制審議会を活用します。
答申する
法制審議会は、法務大臣から意見を求められて(諮問という)これに考えを表明(答申という)する機関です。6の部会があり、今回の問題は民法(権利関係)部会が答申しているでしょう。
登記は義務か
表題部登記は罰則あり
未登記の土地や建物は、取得してから1ヶ月以内に表題部登記をする必要があります。怠ると過料が発生する場合があります。
表題部には不動産の物理的状況を記載します。場所や地目、広さや所有者を登記します。名無しの不動産は許されません。
権利部登記は義務ではない
権利部の登記は権利者の意思に委ねられていて、登記を行わなくても罰則は無しです。しかし行わないと、権利の主張はできず、融資を受けられなかったり、売買も出来ません。
所有者が特定できないことが今回の話題に繋がります。
固定資産税を収めてきた土地
税の支払いでは所有権の主張は出来ない
固定資産税を支払っていても、その土地の所有権は主張できません。登記が必要です。法定相続分の権利を持つ人数が膨大に増えていれば確定が困難になり、確定しても遺産分割協議書に全員の実印をもらわなければ名義変更が出来ません。
登記義務化を検討
相続が発生しても、登記をしなければ、登記上の名義人は亡くなった方のままになってしまいます。故人となっても申請しない限り法務局が勝手に名義を変更することはありません。現在も亡くなった方の名義の不動産が数多くあります。法律の改正が待たれます。
隠居も法律
旧民法に制度
隠居というと水戸黄門を思い出します。ご隠居さんなどと使ったりしますが、仕事をやめて悠々自適に暮らしているご老人というイメージです。実は隠居は旧民法では制度として存在していました。
普通隠居と特別隠居がありました。裁判所の許可を得て特別隠居になったりします。
HPにお越しいただきありがとうございました。
リスナー様からのお便りをお待ちしています
収録日:2021年2月18日
https://takudan.com